デザインの延長にある"日常の相棒"
1983年式のフィアット パンダを普段使いするのは、デザイナーのサトウさん(@fixedtony141)。
美術大学を卒業後、現在はデザイン事務所で働く彼にとって、日々を共にする道具選びは"感性の一部"でもある。
最初にこの小さなイタリア車を見たとき、惹かれたのはスペックではなく「形の素直さ」だったという。
角ばったボディに丸いライト、薄い鉄板でできたような素朴な質感。
デザインとしての潔さと、どこか人懐っこい雰囲気に、自然と心が動いた。
今では、通勤にも買い物にも使う日常の足。
ちょっとしたカーブを曲がるたびに聞こえるエンジンの鼓動が、まるで「今日も元気?」と話しかけてくるようで、つい笑顔になってしまう。
"便利だから選ぶ"ではなく、"好きだから一緒にいたい"。
サトウさんにとってパンダは、そんな存在だ。




シンプルの中に潜む、イタリアの知恵と美意識
サトウさんの愛車は、キャブレター仕様の初期型フィアット パンダ。
パンパンと乾いた音を響かせながら走る姿は、80年代の空気をそのまま閉じ込めたような佇まいだ。
メッキを使わないフロントフェイスは、どこか質実で、同時に愛嬌がある。
そして、チェック柄のような素朴なファブリックシートが、古き良きイタリアンデザインを感じさせる。
一見、簡素に見えるこのクルマには、実はたくさんの工夫が詰まっている。
たとえば、シートカバーは簡単に外して洗えるし、リアシートの座面を斜めに固定すればチャイルドシートにも早変わり!
限られたコストの中で「どうすれば人の暮らしを快適にできるか」を突き詰めた、発想の豊かさが随所に見える。
多くの人に愛される"生活の道具"として作られたはずなのに、40年近く経った今でも古びて見えない。
それは、形の中に"人を思うデザイン"が息づいているから。
そんな小さな哲学に共感しながら、ハンドルを握るたびに、この時代のパンダが持つ"心地よい素朴さ"を感じているという。




好きな音と、静かなドライブ。サトウさんの日常
普段は、休日になるとお気に入りのレコードを数枚持ってドライブへ出かける。
音楽とともに流れる景色、ウィンドウを開けたときに入り込む風の匂い。
そんな瞬間に「このクルマで良かった」と感じることが多いのだそう。
古いレコードや家具、日用品など、"時間を経ても変わらないもの"に惹かれるサトウさん。
パンダに流れる"あの頃の空気"もまた、そうした価値観の延長線上にある。
どこにでもある風景が、このクルマと一緒だと少しだけ映画のワンシーンのように見える。
今では街でもほとんど見かけなくなった初代パンダ。
けれど、サトウさんは「だからこそ、日常の中で自然に走らせたい」と話す。
手をかけ、工夫を重ねながら、暮らしの中でクルマと生きる。
その姿こそが、今の時代にいちばん"デザイン的"なのかもしれない。
CCG'S Good Point

Fiat Panda
フィアット パンダ





