北欧車を辿った先に、サーブがあった
今回ご紹介するのは、2010年式のサーブ9-3スポーツエステートに乗るオカモトさん。
「飛行機をつくっていたメーカーだからこその哲学が、このクルマには詰まっている気がするんです。」
コックピットを思わせるシンプルなインテリアに、身体を包み込むシート。
夜間は必要なメーターだけを残すナイトパネルなど、ドライバーが運転に集中できるよう考えられた設計は、まるで航空機のよう。
アクセルを踏み込むと、飛行機が離陸するように、ふわりと滑らかに加速していく。
「速く走るためじゃなくて、長距離を気持ちよく走るためのターボが心地良いんです。」
普段は隠れているカップホルダーがボタンひとつで現れるなど、機能性を美しくデザインへ落とし込む細かなディテールもお気に入りなんだそう!
わかりやすい華やかさを競うのではなく、あくまでも使う人の心地よさを追求する。
そんな北欧らしい考え方に、オカモトさんは魅力を感じているのかも。





道具を手入れするみたいに、丁寧に付き合えるクルマ
仕事の日も、休日も。このサーブは、いつもの暮らしに寄り添う存在。
クライアントとの打ち合わせや、仕事で関わったお店を見に行くときにもクルマを使っていて、仕事でも相棒として活躍しているんだそう。
「クルマを買って兵庫から乗って帰ってきたときは、本当に楽しかったですね。初めて乗るサーブだったので、このクルマの感覚を少しずつ自分の中に染み込ませていく時間がすごく新鮮でした。」
長距離を走っても疲れにくい乗り心地はもちろんだけど、このクルマが変えたのは、運転だけじゃなく、クルマとの関わり方そのもの。
海外からパーツを取り寄せたり、3Dプリンターで内装パーツを加工してみたり、自分でもできる整備の方法を調べたり。専門店へも相談しながら、自分で少しずつクルマについて学ぶようになったそう。
「前は、ただ乗るだけだったんです。でも、このクルマに乗るようになってからは、不具合があると自分でも調べるようになって。そういう時間も含めて面白いなって思うようになりました。」
「まるで大工さんが道具を手入れするみたいに、丁寧に付き合えるクルマだと思うんです。」
手をかけるほどに、このクルマのことが分かってくる。
そんな時間まで楽しめるところが、オカモトさんにとってサーブの一番の魅力なのかもしれない。




一台のクルマが、つないでくれるもの
自動車メーカーとしてのサーブは、残念ながらすでにその歴史に幕を下ろしている。
それでもこのクルマを愛する人たちは今も世界中にいて、海外では部品をつくり続けるメーカーがあり、日本にも専門に整備を続ける工場があるから、いかに良いクルマをつくっていたかが分かる。
SNSではサーブに乗るオーナー同士が情報を交換したり、年に一度開かれる「Saab Day」というイベントもあるそう。
「メーカーがなくなっても、こうして好きなクルマを大切に乗り続け、それを支えてくれる人たちがいるんですよね。希少なクルマだからこそ、それを丁寧にメンテナンスしてくれる整備士さんにも、もっと光が当たってほしいなと思っています。」
いわゆるネオクラと呼ばれる世代のクルマに限らず、どんな一台でも、
こうして丁寧に向き合われていること自体に価値がある。
そう感じさせてくれるオカモトさんとサーブ9-3の関係でした◎



text: Kazuki Munakataedit: Hana Miyamoto
photo: Kazuki Munakata
CCG'S Good Point
Saab 9-3 Vector Sport Estate
サーブ 9-3 ベクター スポーツ エステート
- モデル名 :
- Vector
- 国 :
- スウェーデン
- 年式 :
- 2010s





