歪さを愛でる古道具屋〈decoboco〉で、ひと味違う休日を(福生市・熊川)

歪さを愛でる古道具屋〈decoboco〉で、ひと味違う休日を(福生市・熊川)

凸凹してる方が、人間らしくて面白い

福生市に、古道具と現代の造形が不思議な調和を見せる個性的なセレクトショップがある。
その名も〈decoboco〉。

このお店を紹介してくれたのは、プロダクトブランド〈LUCKYCHAIN〉を手掛けるイナヌマさん。
日産・サファリに乗るイナヌマさんは、休日に〈decoboco〉のInstagramで営業日であることを確認すると、都会の喧騒から少し離れた郊外へと向かう。
お店の場所は、賑やかな商店街でもアクセス抜群の駅前でもない。それでも、わざわざクルマを走らせて、訪れたくなるんだとか。

のどかな住宅街を抜け、クルマを停めて店内に足を踏み入れると、そこに広がるのは無垢な印象の真っ白な空間。
壁も床も白で統一されたニュートラルな背景の中で、国も年代も異なる道具たちが、それぞれ独自のシルエットを主張するように佇んでいる。

「みんなが一つの正解に向かって一直線に進むより、もう少し右へ左へ振れながら進む方が、人間らしくて面白い」と話してくれた、店主のイシカワさん。

そんなイシカワさんのユニークな想いから生まれたこのお店は、誰もがSNS上の「正解」や同じトレンドを追い求めがちな現代の暮らしに、優しく揺らぎを与えてくれる。

彩度をゼロにしても、立ち上がるかたちか

店内を見て回っていると、脈絡のない道具たちが同居していることに気がついた。

ナショナルの古い照明やデスクに挟む武骨なZライトがあるかと思えば、現代の作家が3Dプリンターなどを駆使して制作した「未来の古物」もある。

なぜこれほど多様なモノたちが、ひとつの空間で美しく調和するのか。
その秘密は、イシカワさんが大切にしている独特なセレクト基準にある◎

「彩度をゼロにしても、ちゃんとかたちとして立ち上がってくるか」

かつてモノクロ写真の世界に没頭していたというイシカワさん。そんなイシカワさんならではの視点で、モノから色や用途という「意味」を一度削ぎ落とし、単なるひとつの「造形」として捉えるのだそう。
シルエットの面白さや凹凸の美しさを追い求めて集めた結果、店内には自然と多彩な色が宿り、使い手の想像力を刺激する独特の空間が現れるんだって。

あえて使い道を限定させない白い空間は、訪れた人たちが「自分の生活空間にどう引き寄せるか」を自由に妄想するための、贅沢なキャンバスとして機能している。

自分だけの「ゆがみ」をもたらしてくれるお店

お店の立地的に、ここは「何かのついで」に立ち寄る場所ではないかもしれない。むしろここは、愛車のハンドルを握り、そこへ向かう時間そのものを愉しむドライバーのための「目的地」と言える場所。

不思議なことに、このお店には王道だけではない少し“外した”美学を愛するクルマ好きたちが自然と引き寄せられてくるそう。イナヌマさんがこの場所に惹かれるのも、あらかじめ用意された効率や正解ではなく、偶然や不便さの中に宿るストーリーを愛しているからに他ならない。

直感で選んだモノをクルマのラゲッジスペースに積み込み、再び街へと走り出す。

正解で埋め尽くされた日常に、自分だけの心地よい「ゆがみ」をもたらしてくれる場所。〈decoboco〉が、帰り道の景色を少しだけ変えてくれる、そんな体験をくれた。

text: Rio Yoshinoedit: Kazuki Munakata

photo: Makoto Nakamura

店名
decoboco
Insta
@decoboco_store
営業時間
不定休
駐車場
有

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